第11回全国読書作文コンクール対象図書一覧
もうひとりのぼくも、ぼく
あなたは自分の性格を知っていますか?なまけものだったり、ちょっぴりまじめだったり、泣き虫だったり・・・・ほんとうの自分っていったいどの自分なんだろう。自分のことが嫌いなひとは、どうして嫌いなんだろう。ちがう自分になりたい・・・・そう思っているひともいるでしょう。この物語の主人公、一人(かずと)は「身を分ける」という意味の名をもつ、みわけ山のヤマモモの木の下で、「ぐずぐずする一人(かずと)」と「さっさとする一人(かずと)」に、わけられてしまいます。一人(かずと)がそうしたいと願ったわけではないのに。ふたりの一人(かずと)はいったいどうなるのでしょう?
ふたりはおたがいに何かわすれ物をしたような気もちをかかえながら過ごし、ついには「さっさとする一人(かずと)」の体に異変がおきてしまいます。いそがないともとの体にもどれなくなってしまう・・・・!
自分のなかにある矛盾する自分を否定せずに見つめて、まるごとを自分だと受けいれることから成長がはじまる。自分を探す物語。
ふたご前線
島田酒店の看板娘は、ふたごの小学生の真秀と真澄。どちらも個性豊かな女の子と思っていると、思いがけない事実が・・・・。
小学校入学を目の前に、交通事故で真澄を失ってしまった真秀。深い悲しみと自責の念が気持ちのゆれとなって、それが少女のなかに「ふたご」を存在させてしまいます。
複雑な心理やいろいろな人間関係をあつかっていながら、さわやかであたたかな読後感が味わえるお話です。
読みどころは、真秀をあたたかく見守る両親や、お酒が縁で家庭教師としてやってくる坂下さん、同級生の清水くんとの会話の面白さ。それから、クライマックスの二通の手紙です。一通は、引っ越していった清水くんから。もう一通は、大震災のあとにひとり暮らしのなかで書きのこしていてくれたおばあちゃんからのもの。 「自分らしさって?」と迷ったときに、おすすめの一冊です。
大空のきず
阿部満は、ペーパープレーンを飛ばすのが大好きな少年です。クラスの中でも、あまり目立つほうではありません。でも、それがたまたま有名なマラソンランナーと同姓同名であったためにその応援団長になってしまいます。ちょっぴり片想いの宮崎も同じ応援団の中にいます。なんだか、クラスメートの注目をあびるようになり、人気者になった気分で浮かれてしまい、ペーパープレーン仲間の親友とも、ふとしたはずみに気持ちが行き違ってしまいます。そんな折、ちょっとしたイタズラ気分で隠した財布が大問題に発展し、応援団も解散、阿部少年は、ワガママ者ということになってしまいます。今までと打って変わったクラスメートの冷たい目線に、彼は自棄をおこし、財布の金銭をゲームで使ってしまおうとします。その時、ふと耳にしたマラソンレースの中継は、故障をおこし、最後尾を走っている阿部選手のことを伝えます。彼は、たった一人で選手の応援にかけつけます。
かあさんの山
井川 沙代 作 定価1470円 けやき書房
六年生の岳彦、一年生の登の父さんは六年前に病死した。
母さんは、父さんの死後も、設計の仕事をつづけ、一家三人の東京暮らしを支えていた。 その母さんが、北アルプス山中の山小屋の管理人になるため、帰郷するという。中学生になった岳彦にとっては、突然の話だった。母さんには、飛騨は生まれ故郷だが、友達もいない、山で暮らすなんてイヤだ、と反対したが登がいいよといったのに力を得て、母さんは、事をどんどんと進めてしまった。 東京生まれの岳彦も、北アルプスの大自然、そこに生きる人達に、なじんでいった。
住んでみれば、山は美しいだけではない。観光客の捨てるゴミ、無謀な冬山登山客の遭難と自然の厳しさも知った岳彦。思春期に入った岳彦は、北アルプスの山の魅力にひきこまれた。
茨城県芸術祭受賞作品
アマゾンにかけた夢
小さいころから、昆虫採集に走りまわっていた橋本さんは、ひとりで南米のアマゾンにわたった。チョウの世界三大生息地のひとつであるアマゾンは、世界のチョウの約半分の一万種類が生息していて、他の二つの地域には、すでに日本の多くの採集者や研究者がいたかだ。五十一日間の船旅を終えた橋本さんは、ことばを覚えながら、昆虫採集をした。図鑑や標本でしか見たことのないチョウばかり。一年七ヶ月におよぶ旅は、盗難はじめ、多くの困難があった。本格的にアマゾンで研究をつづけるために、長期滞在したいと考えた橋本さんは、会社を作り、出張社員として再びブラジルにわたった。命を落としそうになりながら、あこがれのチョウ「アグソアス」を採集し、長い間の夢だった「アマゾン自然科学博物館」を開館した。「自然と人間がともに生きていくためには・・・」と考えつづけている橋本さんの生き方と、アマゾンの大自然の偉大さを紹介し、伝えていく本。
●中学生の部
ルーム・ルーム
コルビー・ロドースキー 作 定価1365円 金の星社
最愛の母を亡くし、母の古い友人ジェシーに引きとられたリビィ。おしゃれで明るかった母に比べて、生真面目で地味なジェシーに、リビィは苛立ちを反発してしまいます。ところがある日、ジェシーがとても大切にしていた機の置いてあった部屋(loom room)を自分のために空けてくれていたことを知ったリビィは複雑な気持ちになります。さらに、火事でその機が焼けてしまい・・・・。孤独な少女リビィが、ジェシーの控えめなやさしさや、新しい家族、親切な隣人たちとのふれあいを通して、少しずつ心を開き、自分の居場所を築いてゆくまでを描いた物語。アメリカの人気ヤングアダルト作家と実力派の翻訳家、画家でおくるハートウォーミングストーリー。
ルールをやぶれ!
サンドラ・グローバー 作 定価1260円 星の環会
様々な問題を抱えた、落ちこぼれで不良の14歳の少女スージー。学校の3週間の課外授業で老人ホームの仕事を手伝うことに。そこには境遇に不満だらけの老人達がいた。すぐキレる手におえないスージーが老人達とのふれ合いの中から自分との接点を見つけ出し、自信に変わり、信頼される心地よさが読み手に響く。そうした交流からスージーは自分自身の居場所や存在をみつける。自分に正直なスージーは私達に前に踏み出す勇気を与えてくれる。
イギリスで多くの若者達に広く読まれた本書。そのテーマは、ティーンネイジャーの犯罪が増えている日本でも十分にあてはまる。スージーほど「問題児」でなくとも、思春期の悩みを抱えた若者はたくさんいる。いつのまにか身近になっているスージーが「老い」について、「死」について、「社会のしくみ」について真剣に取り組む姿が、自然と心に訴えかけてくる。
海からのメッセージ
〜スコットランドのアザラシと音楽家の物語〜
スコットランドの小さな島に住むフィオナは、海辺でバイオリンを弾き、歌っていました。すると不思議なことに近くの水面にアザラシがあらわれ、じっと音楽を聴いているのです。自由に生きる野性のアザラシは、おくびょうで用心深く、人との関わりをさける習性のはずなのに。こうしてフィオナとアザラシたちの不思議な友情が芽生えました。でも、その穏やかな日々は、アザラシたちが恐ろしい病気におそわれた事で大きくかわっていきます。人間が汚した海のせいで、病気になり、死んでいく何の罪もないアザラシたち。そのアザラシたちを救うため、フィオナは、レコードを売り、寄付金を集め、そして実際に傷ついたアザラシたちを保護し、治療し、海に帰す事を始めました。その活動は、周りの人々の心も動かし、広がって行きました。
日本をはじめ、世界各国で紹介されているフィオナの活動とアザラシとの交流を描く物語。
国境をこえた子どもたち
国際養子縁組の家族
「国際養子縁組」という言葉を知っていますか。世界には、さまざまな事情があって、海外に養子として迎えられ、国境をこえた子どもたちが大勢います。
フィンランド西岸に住むリスティマキ一家は、夫婦と実の子が一人に、インドから来た男の子と女の子、中国から来た女の子の、六人家族です。
著者は、一家のことを知り、フィンランドを訪ね、ともに生活して、「どうして外国から養子を迎えようとしたのか」「肌や髪の色が違う親子が、地域からも受け入れられるのだろうか」「生まれた国とは、何なのか」などと、疑問をなげかけます。
そして、「本当の家族とは、何なのか」と、家族のきずなと意味を探します。
現代の悩める社会に生きる子どもたちへ、熱い愛情を注いだ、感動のノンフィクションです。
アリの街のマリア 北原怜子の生涯
五十年ほどまえの、東京は浅草に近い隅田川のほとりにあった「アリの街」が舞台の実話。この近くに住む怜子は、戦争で家も仕事も失った大勢の人々が廃品回収で細々と生活をたてていることを知り、恵まれた自分の暮らしを捨て彼らの中にとび込んでいった。
やがて、貧しさのゆえに勉強もできず学校では苛められいじけていた子どもたちは自信をとり戻し、大人たちにも活気が戻った。マスコミは「アリの街のマリア」ともてはやしたが、失敗や挫折にくじけることのなかった怜子だったが彼女の身体は、回復の見込みもないほどに深く蝕まれていた。
ボランティアという言葉すらまだない頃、人々に生きる喜びと希望を残し短い生涯を駆け抜けていった一人の女性の伝記。
トップページへ